“One Hundred Ways” by James Ingram
7月3日は「ソフトクリームの日」なのだそうだ。となれば道民としては黙っちゃいられない。日本社会未だフレッシュマンの私には他県の事情を知る由もないが、北海道の夏はソフトクリームで盛り上がる。
由来は1951年(昭和26年)7月3日、東京、明治神宮外苑。進駐軍が主催したカーニバルで販売したのが日本で初めてのソフトクリームだった。このイベントを記念して1990年(平成2年)日本ソフトクリーム協議会がこの日を「ソフトクリームの日」に制定したという話。
話は変わるが、毎年旭川近郊地元紙ライナーが「ソフトクリーム・ラリー」なるイベントを開催する。約1カ月間に紙上で紹介された100個以上のソフトクリームを食べた数を競うもので上位入賞者には賞品も出る。
今年は104種のソフトクリームを評価付き紹介しているもののソフトラリーの案内があったのかなかったのか分からず、ただそんなものがなくたって旭川っ子はソフトを食べまくるのだということで、ソフトラリーがないのなら、全道あちらこちらでおいしいソフトクリームを探訪しようと考えている。
私にとってバニラソフトの代表と言えば、江丹別町(えたんべつ)の伊勢ファーム。「青いチーズ」で全国区の認知度を誇る伊勢ファームのソフトクリームは濃厚でしっかりした甘さ。実はあまりバニラフレイバーを食べることのない私もこちらのソフトは時々無性に恋しくなる。
江別市野菜の駅 ふれあいファームしのつにて。わりにさっぱりとしたバニラ味のソフトクリームに、デコレーションの麦わら帽子はチーズパイ。個人的にバニラは甘みの強い濃厚なお味が好きなので少々物足りなさを感じたが、リフレッシュしたい時に食べるソフトクリームとしては上出来。つくづくバニラソフトひとつ取ってみてもお店によって随分と違うものだと感心する。
北海道民のソフト好きはまるでアメリカにいるような錯覚を見るようだ。どこへ行っても、例えばご当地ソフトを看板にしている道の駅でなくても、ショッピングモールのバスキン・ロビンスでさえ老若男女かわいいサンデーなど食べている。この光景を、私は東京で見た記憶がない。こんな道民が私は大好きだ。
ご当地ソフトの楽しいところはさまざまなフレイバー。こちらは芝ざくら滝上公園の「芝ざくらソフト」。芝ざくらってどんな味?とまず考える。
その年によって開花状況が異なるが、5月下旬から6月中旬までシバザクラのピンクの丘は世界中からの観光客で賑わう。この美しい丘にちなんだソフトはチェリーフレイバー、だと私は思っているが、あくまでもシバザクラソフトなのだそうだ。
不覚にも今シーズンのスタートを切ったのは、実はソフトクリームではなくジェラートだった。
上富良野・深山峠のトリックアート美術館横にある深山アイス工房の「ハニーキャラメル&ハスカップジェラート / Honey Caramel & Haskap Gelato」は絶妙なコンビネーション。
アイヌ語の「ハシカプ」から名付けられたハスカップ(Haskap)は北海道苫小牧市(とまこまい)勇払原野にのみ自生する木の実でブルーベリーのような爽やかな味の実をつけ、道内では主にジャムとして加工され、我が家でも夏が来るとブレクファストのヨーグルトやアイスクリームに添えて楽しんでいる。
ジェラートの後ろには雪解けの十勝連峰が美しい。フォトジェニックなスポットで北海道らしいスナップを撮るならここはなかなかいい。
北海道内ソフトクリームの旅にはこれがなければ、というのが中富良野・ファーム富田のラベンダーソフト。リッチでラベンダー香るヴァイオレットカラーのソフトクリームは濃厚ながら爽やかな風味。
実は最初、アロマオイルを食べるようだという先入観があったが、その心配は愚かなだけだった。これを食べずに富良野を去るのはもったいない。ラベンダーのおかげで後味がスーッ。
番外編。旭川近郊ではないがちょっと嬉しくなったのがさっぽろ羊の丘展望台で出会った「白い恋人ソフト」。期待していなかったのでチョコレートとのミックスにしてしまったが、失敗。これは白い恋人ソフトだけを楽しんだ方がいい。ソフトクリームというよりも「良いお菓子」という印象を持つ。
北海道にもようやく遅く短い夏がきた。これから秋風の吹き始める8月中旬まで、ライナーの紹介した104個のうちいくつ掌握できるか。100個目指してさあ、小旅行に出かけよう。