“What a Difference a Day Makes” by Julie London
恋の行方は、22時の散歩次第。
空を見上げても星も見えないマンハッタン、22時。
ぽつりぽつりと人影が消え、静かになった通りを秋風に吹かれて歩く。
昼間は目にも留まらない店のショーウィンドウ。
暗い壁に浮かび上がり、二人は足を止めて奥を眺める。
彼女が言う、「気付かなかったね、このディスプレイはいつまでかしら」
彼が言う、「じゃあ、また来て確かめてみる?」
翌日も1週間後も22時、二人はまたここに来る。
彼女が言う、「サンクスギビングのデコレーションはいつ頃かしら」
彼が言う、「11月になったらすぐじゃない?来てみれば分かるよ」
その年のクリスマス。
彼女が言う、「来年の今頃もこの店はあるかしら」
彼が言う、「じゃあ来年の今日も来てみよう、一緒に」
口には出さないが二人は思う、この店がなくなったら僕たちは、私たちは。
けれど22時のニューヨークには見えている。
翌年のこの店のホリデイデコレーションと、雪で頭が真っ白の、二人の姿。
10年後の今夜、5歳の娘を真ん中にこの店の前で足を止める二人の笑顔。