10月。富良野の帰り、今年最後のノロッコ号を見送った。
6月から10月にかけて、色どり美しい美瑛・富良野を走るノロッコ号。
爽やかな夏風と車窓を流れゆくのどかな田園風景を眺める時間は
名所巡りよりも甘いメロンよりも心を満たしてくれる。
この夏もたくさんの笑顔と楽しい思い出を運んだのだろう。
遠くにノロッコ号を見つけて踏切に立ち、待った。
そしてのんびりのんびり近付いた列車の中に、私は見つけた。
ふたりの乗客のすぐうしろに、太陽の季節が乗っているのを。
列車は目の前をゆっくり通り過ぎ、あとには感傷的な晩夏の余韻が漂った。
太陽の季節を連れ去ったノロッコ号が小さく小さく、やがて見えなくなると
雪に覆われた十勝連峰から、冬の訪れを告げる冷たい風が下りてきた。
明日はウールのコートを出そう。