Category: F.G.S.W. Deli
-
彼らが来たら、Minty Fall
“Felicidade” by Lisa Ono 北海道の秋の味覚は数あれど、忘れてならないのがかつて北海道土産の代表格であった「木彫りのクマ」が抱えている魚。そう、鮭である。 去年の10月、ニュースで「旭川市内の石狩川でも鮭が見られる」と聞き、連日川という川を探して歩いたのであるが一度も見ることができず、結局旭川が誇る北海道遺産「旭橋」を幾度となくうっとり眺めるに終わった。 ならば今年もとカメラ&双眼鏡を首から提げて休みのたびに出かけ夕暮れ時まで粘るも、やはり発見できず、無念。場所が悪かったのかしら。 今年は不漁と言われた鮭であるが、それでも秋も深まってくるとスーパーマーケットの鮮魚コーナーを半分は占領する秋鮭。焼き魚をしない我が家でも何とか楽しみたいものだと思っていると、あるアメリカの雑誌でサーモン・サンドウィッチのレシピを見つけたので作ったみた。 が、オリジナルレシピで使われていたお酢が強くて我が家ではNG。そこでお酢をレモンに替えたところ、ちょっといいランチになった。 名付けて”Minty Fall” Sandwich ~「ミントな秋のサンドウィッチ」。 パンは、本当は形もお味も抜群の日本の食パンを使いたかったがサーモンのオイルでふやけてしまうので、今回はバゲットを使った。軽くトーストしておく。 まず、薄切りのきゅうりに塩を振って、レモンスライスで香りと酸味を移す。きゅうりはパリッとした食感が命であるが、塩とレモンに10分ほど漬けて少ししんなりしたものもサーモンによく馴染むようだ。 続いてサーモンはフライパンで両面を焼き、塩コショウする。バゲットはスライスしてバターを薄く塗り、スライスしたきゅうりと焼いたサーモン、そしてやや多めのミントの葉を載せてサンドする。これだけ。 最後に、道民の大好きな山わさび(ホースラディッシュ)とマヨネーズを合わせたものを味付けに添える。あるいは、NY郊外の行きつけのスパニッシュレストランで出されるホットソース(タバスコソースなど)とマヨネーズのコンビネーションもおいしい。これをソースにして召し上がれ。 ミントが青魚特有のオイルを爽やかに食べさせてくれる。サンドウィッチをよく食べる我が家でMinty Fallは新しい定番メニューになりそうだ。 鮭の美味しい季節。週末のランチに、いかが? “Minty Fall” Sandwich お材料(2人分): サーモンフィレ 1柵: 我が家で購入した鮭は厚さが5cmほどだったので半分にしました。 バゲット: 1cmの厚みで4枚 レモンスライス: 2枚 きゅうり: お好みの量 ミントの葉: お好きなだけ。1人分10枚くらいあるとミントが活きます。 塩、コショウ: 適宜 ホースラディッシュ: 生をすりおろすかチューブのものを小さじ1 マヨネーズ: 大さじ1~2
-
One Fine Day とフリルなブランチ
“Saturday Morning” by Rachael Yamagata 夫も私も忙しかった10月。久し振りに会った休みの朝は、ゆっくり起きてブランチしてから「日本の都市公園100選」にも選ばれている旭川の常磐公園へ今年最後の紅葉を見に。 この日のブランチはケイティ命名「フリルなピアディーナ」。9月の終わり、オープン直後の北欧の風 道の駅とうべつ「レストランAri」で出会ったかわいくて美味しいピアディーナを真似て家で作ってみた。おしゃれで栄養満点で意外にも食べやすい。定番ブランチになりそう。 因みにこの道の駅、入った途端IKEAの香りがするのであるが、調べたところ使われている家具はやはりIKEA製であった。なかなか素敵な道の駅。 ◆「フリルなピアディーナ」の作り方は最後に。 うららかな昼下がり、この日の気温は7℃ともう秋とも言えない寒さ。けれど風もなく歩くには心地良い。気分も軽く、時もゆっくりと流れてゆく。 座って何か飲もうということになったものの、腰を下ろすとベンチが冷たくて諦めた。お日さまは暖かいのに、やはりここは旭川。冬の訪れをベンチで実感。 誰も乗らなくなったボートの上でダックが日なたぼっこ、というより寒くて固まっているようにも見えてしまう。たぶんそう、寒いのだわ。 見事という言葉しか浮かばない、それほどに美しい枯葉のじゅうたんは、踏んでみると何てソフトなのだろう。降り注ぐ午後の日差しがつくる木漏れ日も、夏のそれとはやはり様子が違う。センチメンタルでいい感じだ。 絵本の中にでも入り込んだようなこの小道を夫と話をしながら歩く時間は、それが永遠でもよいと思えるくらい気に入っている。夫は楽しい話の達人なのだ。 この日の話題は「手相」。空に手をかざしながら彼はスターとソロモンの輪を持ち、私は太陽線と縦一直線の運命線を持つのだと言う。おもしろいおもしろいと喜ぶも、傍から見ればややもすると「え?これが?ほんとに??」そして「相手にしても仕方のない、ほっとくしかない愚かな夫婦」ということになろう。 周囲の目などおかまいなしに、二人の会話は続く。途中、公園内の神社に立ち寄ってお参りし、私だけおみくじを引いた。心の温まるお告げが書かれていた。 どんなに忙しくても、こんなささやかな良い一日があるから明日を楽しみに生きられる。 公園のボードウォークを北風と踊る枯葉の美しさも忘れてはいけない。こういう季節の小さなひとこまが意外にも5年先、10年先の良い思い出の中に描かれているものだ。 風がいっそう冷たくなって、指先がキーンとする。熱いお茶が飲みたくなって、私たちは公園と、晩秋のOne Fine Dayを後にした。 ◆ フリルなピアディーナのお材料 2人分: ・薄めのピッツァクラスト:2枚(直径20cm、軽くトーストして柔らかくする) ・蒸し鶏 200g (ランチならローストチキン、ローストビーフもおすすめ) ・チーズ:普段はエメンタールですが今回はチェダーとゴーダ3層のスライスチーズ使用 ・ベイビーリーフ、紫キャベツ・スプラウツ、千切り大根やミックスビーンズのサラダなどお好みで。マスタード・リーフなどもアクセントになって美味しいし、具材に合わせたハーブを替えればちょっとしたおもてなしランチになる。野菜はフレンチドレッシングやオリーブオイル+ソルトを軽くかけておく。 ・チェリートマトはMUST! 大きなサンドウィッチもこれがあると飽きがきません。 ・真ん中のパンプキンサラダは電子レンジにかけマッシュしたパンプキンをマヨネーズとメイプルシロップで和えたものを使いました。メイプルシロップの香りが強過ぎるという場合はハニーやオリゴ糖で。 ・ソースはマヨネーズ+ホースラディッシュ(北海道では「山わさび」と呼びます)。私は甘みの強いアメリカのマヨネーズが好きですが、今回は日本製マヨネーズがよく合います。 ◆具をクラストのハーフスペースに載せたら半分に折り、くるくると巻いて、中央にできた穴にパンプキンサラダやポテトサラダを押し込み、空いているスペースにビーンズも加え、大きめのペーパーナプキンで包んでカップに差して立てておく。私はメイソンジャーを使用。 ◆ピアディーナはイタリアの軽食で、丸いクラストを半分に折って具材を挟むことが多いが、「北欧の風 道の駅とうべつ」の「レストランAri」さんではこんなにかわいいサンドウィッチにしていた。パーティーメニューにもできそう。
-
Moments 11: Happy 4th of July
7月4日は独立記念日 / Independence Day、アメリカは今日241歳になった。 ニューヨークの家にいると、この日はどこかしらのBBQパーティーに呼ばれて行くか、旅行先で花火を見るか、予定がなければ夫とマンハッタンか、あるいは自宅から近い港、ビーチ、ゴルフ場で催される花火大会に行く。地元の小さな花火大会も、退役軍人のカルテットによるジャズセッションなどがあったりして趣深く良いホリデイを過ごせるものだ。 旅行もアメリカ国内と決めている。国の誕生日に海外へ行く気にはなれず、特にこの日を目的にするならフィラデルフィアや首都ワシントンへと足が向く。 ここはアメリカ合衆国が誕生したフィラデルフィア市、インディペンデンス・ホール前モールのパビリオン。 独立戦争に勝利したアメリカの「自由の象徴」のひとつであるLiberty Bell(リバティ・ベル=自由の鐘)が、ガラスのケースに入れられることもなく、誰もが身近に感じられるよう展示されている。上部に刻まれているのは旧約聖書の言葉; 「全ての土地と全居住者に自由を宣言せよ」- レビ記 25:10 この鐘の前に立つたび、勝ち得たものが「自由」であることの真の意味と、人としての正しい生き方を考えさせられる。 この鐘はアメリカの大事を知らせる為にたびたび打ち鳴らされてきたが徐々に傷み始め、最後にその音が響いたのは1846年2月12日、アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの誕生日であったと言われている。 役目を終えたリバティ・ベルは、今のアメリカを一体どう見ているのだろう。 さて我が家であるが、独立記念日を自宅で過ごす場合のディナーが決まっている。 Philly Cheesesteak(フィリー・チーズステイク)。フィラデルフィア生まれの、あくまでもカジュアルでどこまでもアメリカなホーギースタイルのサンドウィッチである。ホーギーとは薄切り肉や野菜を長細いパンに挟んだサンドウィッチを言う。 レシピと言えるほどのものはなく、オニオン、マッシュルームと共に炒め塩コショウしただけの薄切り牛肉にチーズを乗せるだけ。パンはイタリアンロールなどがよいが都心でも見ることがなかったので、口当たりの軽いバタールなどを選ぶといい。この美味しさとアメリカへの想いを新たにする為、私たちは大好きなこのサンドウィッチを独立記念日のこの日にのみ食べることにしている。 Philly Cheesesteakが毎年夏を連れてくる。そして早速、道北旭川は明日以降3日間とても暑くなるようだ。 もうひとつ、外せないのがアメリカ国歌。The Best National Anthem Ever!! と言えるのが1991年のスーパーボウルでウィットニー・ヒューストンが歌ったこれ。試合前テレビの前でこの国歌を聞いた時は胸が震えた。そして私たちのNY Giants 優勝を確信したのだった。ちょうど湾岸戦争の最中でもあり、彼女の歌う国歌はより特別なものとなった。 We’ll miss you, Whitney, and Happy Birthday, America!! YouTube uploaded by CavBuffaloSoldier all photos by Katie Campbell / F.G.S.W.