Tag: Life
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#CountBlessingsMonday~月曜の朝のおまじない
Song: “Good Love” by Angela Johnson ft. Deni Hines Monday Blue という言葉があるが、私にはあまり縁がないようだ。月曜日云々というよりも朝がとても好きだからだと思うのであるが、先月患ったインフルエンザが思いの外重く回復にひと月を費やしてしまった為、2週間前に終える予定であった仕事が〆切当日の今日もぐずぐずと終わらないでいる始末で目が覚めるなり心は真っ青なのであった。 でも大丈夫。蒼白な月曜日をキランキランの一週間に変えるおまじないを私は持っている。 大学時代初期を私はハワイで過ごしたが、時が経つにつれて物足りなさに苦しむようになった。友達もたくさんいたしカレッジライフも楽しかったが、その中で何か自分自身に求めるものを放棄しているような気になっていたのだった。 変化が欲しい。そればかり考えながら、日曜の夜が来ると翌朝が重たく感じられた。 エルサという文学の教授と気が合って、時々キャンパス内のカフェで話し込むことがあった。ある金曜日の午後、私は彼女に今の自分をどうすべきか尋ねてみた。彼女の回答は、 「それはあなたにしか答えを導き出せない神さまからの出題。思いきり苦しむしかないわね」 そして、こう続けた。 「月曜日の朝はね、ブレクファストを食べながら自分がどんなに幸せか、それを数えてみるの。ちゃんと声に出して感謝するのよ。その一週間が輝くわよ」 次の月曜日、いつもより1時間早く起きてカリカリベーコンと目玉焼きのブレクファストを作った。とろりとした黄身にベーコンをディップして食べるのが好きなのだ。 席に着き、私はまずエルサとの出会いに感謝した。それから両親に、次に、私が休暇で実家に帰り再びホノルルに戻る前夜、こっそり私の好む曲を集めてCDを作り深夜に手渡してくれる心優しい弟に、私の人生を明るくしてくれている世界中から集まった楽しい友人たちに、遠く離れても日本で私を思ってくれる温かい友人たちに、愛読書を著してくれた作者にも。 本当だ、何て私の人生は恵まれているのだろう。感謝を言葉にすると、心がじわりと温かくなってふわりと軽くなって、身体に新鮮な空気がどんどん入ってくるような気分になった。以来私は己を戒め祈りを捧げる気持ちで #CountBlessingsMonday と名付け、朝食のテーブルで感謝を口にするようになった。 今朝は朝食のテーブルで、やっぱり真っ先にエルサに。それから彼のおかげで私の人生には恐れがない、永遠の大親友・夫に、愛して止まないニューヨークに、近付いてきた春に、それから最近知ったフローズンのパスタシリーズ。これがかなり気に入っていて夫が出張でいない忙しい夜はちゃちゃっとチンして食べているのであるが、これを生み出してくれた日清食品にも感謝しちゃうのだった。おかげでテンションを取り戻して仕事を終えることができ、この一週間も陽気に過ごせそうである。 日本は月曜日が終わってしまったが、ブルーな週明けを迎えた朝には是非試してみて。意外と効きます。
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You&Me Philosophy
“Built for Love” by PJ Morton 本当ならハロウィーンディナーの買いものでもしているはずだった10月最終日の午後。何も予定を入れないこの日があるなんて、思いもよらなかった。 10月は夫も私も多忙を極め、繰り返し数えてみても何日一緒にいたか覚えてもいない。ハロウィーンをただの気だるい休日にしたのは、それが理由だ。 久し振りに帰宅した夫とランチに出てからしばらくドライブし、私たちが「小軽井沢」と呼んでいる東川町のカフェに立ち寄った。 今年できたばかりのその店にはひと組の先客があったがとても静かで、普段なら決して聞き逃すことのないBGMも覚えていないほどの静寂。この日の私たちには嬉しかった。 飲みものが運ばれてきてからは、殆ど話をしなかった。夫はもちろん長い出張で疲れていたし、私も文字との格闘が続きいささか脳内がショートしていた。 真空管の中にいるような時間がゆっくり、ゆっくりと流れていく。夫はタブレットで読書をし、規則的にページを流す彼の指先を、私は熱いトラジャ・ママサを飲みながらぼんやりと追った。 久し振りに時間を気にせずいられると思ったら、気が緩んだのか軽い眠気が訪れた。視線を落とすと、グラスの中の水がとてもきれいに見えた。 東川は日本でも珍しい「上水道0%の町」。この町で使われている水は大雪山の伏流水、それだけでごちそう。北海道の移住率1位はここにも理由がありそうだ。 夢現を行き来しながら私はひとつずつ数えるように嬉しくなった。澄んだ水、心地良い時間、それから本を読む夫の口もとに浮かぶ笑み。 晩秋の西日が店の窓から差し込み四角くなって集まると、その中にある文字が浮かび上がったように見えた。 “blessed” ~ 恵まれた人生だ。 若い頃なら、会話が途切れるという不安のエッセンスが胸に直接流れ込んでチリチリと痛みもしただろうが、今はこんな時こそ相手の気持ちが手に取るように分かるし、思いやれる。テーブルを挟んで、言葉がない時にこそ見えてくる空気に確信する。相手の存在と、その人の為に生きることが己の人生を満たしているということ。 よくもまあそんなこと言えるねと笑われてしまうかもしれないが、私たちの間に漂っていたその空気は22年連れ添ってみないと分からなかった、22年経った今、気付けば完成していた夫と私の「夫婦(めおと)哲学」であると言ってしまっていいのではない、か、な? 店を出ると、日が沈んだばかりで辺りは橙に染まり、店の窓ガラスにもヨーロッパの古い絵画のように映っていた。 明日はまた遠くへ出かける夫に、今夜はからだに優しい夕食を考えよう。 Wednesday cafe & bake: 北海道上川郡東川町東8号北1番地 TEL: (0166) 85-6283 Open Hours: 11:00 – 18:00 Closed: 木曜日 Wednesday Instagram 写真の町 北海道上川郡東川町オフィシャルウェブサイト: Higashikawa Town of Photography